「乱紋」-偉大なる鈍重な姫の物語
人というものは、
一見劣っていると思われがちな者が、
実はその人を嘲笑っていたような連中を凌いでしまうような、
そんな話が好きなもののようだ。
たとえば
永井路子の「乱紋」。
戦国時代に滅んだ浅井氏の遺児である三姉妹を
3人の中で一番不美人といわれる三女おごうを中心に書いた物語。
この中で
そのおごうは鈍感で緩慢な姫として
幼い頃より常に
彼女よりも美しく気の回る姉たちの嘲笑の的とされてきた。
が、実は
その鈍重とも思われる腹の据わり方や
「自我」を滅却させたがゆえの「達観」の境地もつ彼女には
目先の勝ち負けにこだわる姉たちをも凌ぐ栄達がもたらされる。
ほとんど自分の意思を表に表さぬ彼女にとって
その人生は果たして「幸せ」であったかどうかさえも疑問ではあるのだが…
おごう―
先ごろ発表されたところによると
この戦国の姫が再来年2011年の大河ドラマの主人公だとか。
題名と脚本家までは発表になっているが、
原作はとくに定まっていないよう。
だとしたら特に原作を定めずオリジナルの脚本なのかもしれない。
またあるいは
ドラマ化にあたっては
戦国美女オールスターによる豪華絢爛絵巻の「美女いくさ」(諸田玲子著)の小督のほうが適しているのだろうが…
でも
そういう女性たちの戦国歴史劇はもう十分観た気もするから。
だから出来れば
鈍重にして不動、
だが水の流れのようにしなやかでとらえどころのない、
この「乱紋」のおごうイメージで
やっていただきたいものだと
つい思ってしまう。
そんな気の早い私、である。
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