オリンピックの密かな楽しみ
子供と一緒に眠ってしまい、はっと気づくともう1時をまわっていた。
階下に下りていくと夫がオリンピック中継をテレビで見ている。
起きてきた私に向かって彼はうれしそうにこう言った。
「ハンガリーの国歌、初めて聴いちゃったよ。」
へえー、ハンガリーの国歌?
「珍しくマイナー調の寂しげな始まりなんだよね。でもだんだん盛り上がってきて、元気が出でくるんだ。なかなか感動的だよ。『いろいろ苦労したけど最後はみんなで頑張って幸せになりました』って感じだな。」
彼は、ハンマー投げの表彰式を見たらしい。
室伏選手を抑えて金メダルを獲得したのは、確かハンガリーの選手だった。
マイナー調ということはチゴイネルワイゼンみたいな感じ?
東欧の荒涼とした風景やそこを彷徨するジプシーたちの姿が目に浮かぶ。
ああ、聴きたかったなあ!
こんな風に書くと、いかにも私が国歌フリークで、数十カ国の国歌を知っているかのごとき人物のようだが、そんなことはない。知っているのは極々わずか。
ご存知のアメリカに始まり、荘厳なイギリス、『自由・平等・博愛』の象徴だが勇ましげな軍歌でもあるフランス、統一への憧れに溢れたドイツ、民族色の薄い共産中国、唱歌風の懐かしさのある韓国、それにちょっと変わったところで、チリなんてぐらいだ。
なぜここにチリが出てくるかというと、何回か前のサッカーのワールドカップで2度ほど聴いたことがあるから。エンディングが3回繰り返されるというクドさがとても気に入り、その大会で決勝トーナメント進出ならずして敗退したときは、「もう当分この国歌が聴けないのか」ととても寂しく思ったものだった。
事実それ以降1度も聴いていないのだが、今回のオリンピックでチリはなんともう2個も金メダルを獲得しているらしい。つまり2度もあの曲がアテネの空にかかっていたのだ。うーん、聴き逃したのはまことに残念。(もっともそのシーンがテレビで放映されたかどうかは定かではないが・・・)
そもそもオリンピックのようなスポーツの祭典でもなければ、なかなかそういった国の国歌など聴く機会はないものである。
国歌にもその国の個性のようなものが表われる。
先ほどのハンガリーしかり、チリしかり。
特に南米の国歌は結構オペラ風でドラマチックなものが多い。
熱きラテンの血のなせる技か。
そういうところでその国に触れたような気になるのも、「また楽し」だ。
今まで迂闊にも日本の金メダルラッシュに浮かれて、未知の国歌に触れる絶好の機会を逃し続けていた。
これはいけない、日程も後半になったこれからは表彰式のシーンには気をつけていなければ・・・
さて、そういえばロシア国歌をまだ聴いていないことに、今気づいた。
今頃になってこんなこというのも恥ずかしいが、
もちろん、ソビエト国歌じゃなくなったんでしょう?
もしご存知の方がいたら、ご一報くださるとありがたいです。
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