« 少子化の原因って? | トップページ | 消された疑惑? »

2006/01/19

冬のこどもたち

 さむいさむぅい冬の日のことだった。

 会社を出るともう真っ暗。
 寒い北風が吹きすさぶ駅前の商店街は人でごった返している。
 しかし明るい華やかさはあまり感じられない。
 この寒さだもの。
 皆寡黙に家路を急ぐのみだ。
 厚手のコートにマフラー・手袋という完全装備、
 それでも逃げていく体温を逃すまいと
 こころもち首を縮みこませて背中を少しばかり丸めながら
 言葉少なに歩いている。


 ふと目をやると、
 自転車の子供椅子に小さい子を乗せたお母さんの姿が映った。

 お母さんは一生懸命子供の足もとにひざ掛け掛けている。
 それこそ、
 丁寧にしっかりと
 風の入り込む隙間もないように。
 これは掛けると言うより包み込むと言うほうが正しいのかもしれない。
 子供の腰から下はフリースの山にどっぷりつかっっている。
 毛糸の帽子に厚手のオーバー、
 まるで着ぐるみの動物のように
 コロコロに丸くなった子供は母親のなすがままだ。

 「自転車の前椅子は寒いからなあ・・・」
 そう思いながら先を行く。
 見回すと
 それ以外の母親たちも
 自分の子の世話を細々と焼いているのが目に付いた。

 あ、あそこでは子供のマフラーを巻きなおしてやっている。
 こちらでは帽子を被せなおしている。
 そっちじゃ、タレていた鼻をかんでやっている・・・

 ほんわり温かい光が差したようだった。


 麗しい親子愛?

 もちろん、それだけではない。
 母親たちは
 ただ子供が愛おしいからというよりは、
 むしろ風邪をひかせちゃいけないからという理由で
 こうも甲斐甲斐しく世話を焼いているのだ。
 (少なくとも私はそうだった。)

 風邪を引かせると母親の仕事は倍増する。
 混雑する医者に通い、
 外出もままならなくなり、
 夜もゆっくり休めなくなる。
 それゆえ、皆やっきになって子供を寒さから守るのだ。

 それでも、
 そんな母親の利己的な理由からでも、
 なんと子供達の顔は満ち足りていたことだろうか。

 「・・・自分達は大切にされている・・・」

 そんな確信をしっかりと掴んでいるかのように。


 私は今まで
 冬の子供を可愛いと思っていたのは、
 そのモコモコと着膨れたぬいぐるみのような
 愛くるしい姿ゆえかと思っていた。

 しかし、
 それだけではなかったのだ。
 彼らの愛らしさは、
 母親たちの甲斐甲斐しい姿と
 その満足げな安らかな表情あってこその、
 愛らしさだったのである。


 ふと、
 題名は知らない流行歌の一節が頭をよぎった

 ♪・・・ふゆがさむくてほんとによかった・・・♪

 ・・・ほんと、よかったね

|

« 少子化の原因って? | トップページ | 消された疑惑? »