パイの大きさについて
その昔、
パイの話を聞いたことがあった。
ひとつのパイを皆で分け合う話。
大抵の場合、
多くの切れ端を独り占めするものが存在し、
そのためパイは皆には行き渡らない。
パイにあぶれた者たちには当然不満が募る。
その不満に対し
世のリーダーたちが考えるのは常に
「今のパイを公平に分け合いなおすことではなく
自分の取り分はそのままにして
皆に行渡るほどの新しい大きさのパイを生み出すこと」。
その新しい大きいパイは一体どうやって生み出されるのだろうか?
純粋なる工夫と人知から生み出されることもあるだろう。
または、
腕力に物を言わせて他のものから奪い去ってくる場合ももちろんあるはずだ。
戦後、
この国はパイを大きくすることに一応は成功した。
飢えて野垂れ死にをする人は今や稀有な存在となった。
だが、
それはどのように大きくしたパイなのだろう。
どこかの誰かが食べるべきパイには
一切手を触れずに成し遂げた業績だと
誰がきっぱりと言い切れるだろうか。
そして、
私がずっと疑問に思っていたのは、
この世界の生み出せるパイは
世界の全ての人のお腹を満たすに十分な大きさなのだろうか
ということ。
はからずも先日観たドキュメンタリーは
その答えを語ってくれた。
それによると、
先進国並みの便利で快適な生活を世界中の全ての人60億人が送るにためには、
地球は5つ必要(資源は今現在の5倍必要)なのだとか・・・
つまり、
私たちは
地球が養えるキャパシティーの5倍は贅沢をしている
ということらしい・・・
パイは、
やはり小さかったのだ。
いや、
そんなことはもうずっと前にわかっていたはず、
わかっていながら
目を背けていただけのことだったのだけど・・・
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