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2008/05/16

深く柔らかくそして静かなる語り口―姜尚中氏

連休に入る前だったでしょうか、
偶然、
NHKで日曜深夜にやっている「私が子供だったころ」という番組を観たのです。

各界の著名人の
子供時代をドラマ仕立てし、
それと同時に現在の本人へのインタビューを絡ませながら紹介するという番組―。
自明なことながらこの手の番組は
紹介されるその人物によって
興味が湧いたり湧かなかったりと極端に変わるものですが、
果たして、
その日のとりあげられていたのは、
東大教授で政治学者の姜尚中氏だったのでした。


・・・


ああ、と思ったのですよ、
観てみたいような観たくないような・・・と。

九州の田舎町、貧しかった幼年時代、
在日であることの重み
他のクラスメートたちと違うことによる葛藤・・・

きっと、そんなことがつらつらと語られるはず。
それはそれで確かに深みのある内容なのだろうけど、
日曜の夜に観るにはズシンと胸にこたえ過ぎるのでは?


でもそんな心配は杞憂なモノに過ぎなかった―

描かれていたのは
淡い初恋を中心とした
誰もが感ずるような少年の日の思い出であり、
そこには過度の悲劇も陰惨なまでの劣等感も無かったので。
(まあ、戦後の話であるのだから
 ある意味当たり前といえば確かに当たり前なのですが・・・)

それが彼独特の物柔らかな深みのある語り口で
とつとつと語られている、
そんな番組でした。


・・・


しかし、
いつも思うのですが、
この姜尚中という人の語り口というのは本当に不思議な魅力がありますね。

「朝まで生テレビ!」などで
彼が本業(?)の政治学や思想についてを語っているとき、
そのソフトな語り口についつい騙されて
私も一生懸命耳を傾けたりしたことがありましたっけ。
でも、
なんだかいつも煙に巻かれるようで
結局「何を言っているんだかよくわからない」という感じ・・・
(最初こそ、
 そのわからない原因というのは
 聞き手である自分がおバカさんだからなのかなぁと
 落ち込みもしたのですが
 今は、
 この人はきっと「ものすごく頭のいい人」なんだろうけど
 それを簡潔に表現することは苦手なのかも、
 と自分の都合のいい解釈をするようにしています (苦笑)。)


でも、
不思議とその「わかり辛さ」が不愉快じゃないんですよね。

この人の声は音楽のようで
それを聞く人の心に適度な心地よさを生み出している―
もちろん、
それが善いとか正しいというのは、全く別の問題ですけど。


思想的には
いろいろ物議を醸し出すものも持っている人ですし、
いわゆる嫌韓の方々にはすこぶる評判は悪いようですが、

その冷静沈着な面持ちやシャープな容姿、
そして
何より柔らかなその声に

なんとも気になる御仁の一人です・・・。


(一部の中年のご婦人方に人気があるような・・・
 いやはや、私もミーハーってことですな・・・)

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