プチ謝り屋?
身内の不幸があり、田舎へ行ってきた。
田舎の葬式というのを
体験したこのとある人はご存知だと思うが、
都会のような他所からぴょこんと参加した人間にとっては、
辛いものである。
とにかく、
何をしたらいいのかわからない。
右往左往するのみで
ちっとも役に立たない。
勇気をふりしぼって何かを聞いたり何かに手を出そうとすると、
たいていの場合余計なことで、
周りの迷惑になってしまうだけだったりする。
じゃ、
何も出来ないのだからと、
開き直ってでーんと構えている勇気も無いのだから、
だからやることは
ただひとつ。
ただただ
実戦力となっている土地のご近所の皆々様に
平身低頭し続けること。
頭を下げて、下げて、下げて……
ひたすら頭を下げ続けていたら、
辛いとか
申し訳ないとか
身の置き場がないとか
はたまた
屈辱的だとか
情けないとか
なんだかそういう感覚がだんだん麻痺してくるのだ。
ここでは
頭を下げ続けるのが、
私の仕事
私に与えられた唯一の役割。
そんな気分になってきて
妙な高揚感すら感じられるようになってくる。
そう思ってまた頭を下げると、
相手は
斎場の給仕係の人で、恐縮されてしまった。
……
ああ、
誰でもいいよ。
とにかく
「すみません」
「ありがとうございます」と
深々と頭をさげるだけ。
「謝り屋」、
というのだろうか。
もし実際にそういう稼業があるのだとしたら、こんな感じなのかな、
そんなふうに思った、
晩秋の3日間……
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