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2008/11/20

プチ謝り屋?

身内の不幸があり、田舎へ行ってきた。

田舎の葬式というのを
体験したこのとある人はご存知だと思うが、
都会のような他所からぴょこんと参加した人間にとっては、
辛いものである。


とにかく、
何をしたらいいのかわからない。
右往左往するのみで
ちっとも役に立たない。
勇気をふりしぼって何かを聞いたり何かに手を出そうとすると、
たいていの場合余計なことで、
周りの迷惑になってしまうだけだったりする。

じゃ、
何も出来ないのだからと、
開き直ってでーんと構えている勇気も無いのだから、

だからやることは
ただひとつ。

ただただ
実戦力となっている土地のご近所の皆々様に
平身低頭し続けること。


頭を下げて、下げて、下げて……


ひたすら頭を下げ続けていたら、

辛いとか
申し訳ないとか
身の置き場がないとか
はたまた
屈辱的だとか
情けないとか

なんだかそういう感覚がだんだん麻痺してくるのだ。


ここでは
頭を下げ続けるのが、
私の仕事
私に与えられた唯一の役割。

そんな気分になってきて
妙な高揚感すら感じられるようになってくる。


そう思ってまた頭を下げると、
相手は
斎場の給仕係の人で、恐縮されてしまった。

……

ああ、
誰でもいいよ。


とにかく
「すみません」
「ありがとうございます」と
深々と頭をさげるだけ。


「謝り屋」、
というのだろうか。

もし実際にそういう稼業があるのだとしたら、こんな感じなのかな、


そんなふうに思った、

晩秋の3日間……

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2008/11/12

父親
―理性により「親」とならねばならない人たち

先週だったか、
よく訪問しているサイト管理者にお子さんが生まれたのだそうです。

その方は30代で男性。
文章の深さ、誠実さ、正直さに惹かれて訪問していたわけなのですが、
前々から時折その文面に表れる、
「自分は果たしていい親になれるのだろうか」という不安感が、
(ひょっとしたら近々お子さんが生まれるのかな、)
という予感を私に感じさせていました。

多分、男の方には特に大きいのかもしれませんね、
この、
「自分は果たしてちゃんとした親になれるのだろうか」
いう不安は……


以前から多くの人が言ってきたように、
10ヶ月もの間へその緒一本で赤ちゃんと繋がってきた後に対面する母子に対し、
突然小さな生き物を目の前に差し出され、
「さあ、今日からお父さんですよ」と言われる父親という存在は、
本当に不安であり、大変なのだと思います。


つまり

女は野生的に本能的に親になることが多いのに対し
男はより人工的で理性的に親となるより他がない

ということ。


自然界の多くの野生動物のオスたちが
子育てをしないように、
人間の男性は本来子育てなどしないものだったのでしょうから。
人間社会においても、
「父親」という役割は極めて新しいものであったはず。
逆に新しいものだからこそ、
果てしない悩みとそして期待もある、ともいえるのかもしれません。


で、私はずっと、
女として自然に
「母」というよりプリミティブな「親」として子に接することができることを、
ラッキーなことだと思っていました。
自分は
オムツ替えや授乳という七面倒くさい仕事をこなさねばならないとはいえ、
新しい「親」である「父親」に対して
絶対的に優位に立てる「母」という座にあぐらをかける女であることに、
安堵の胸をなでおろしていたのです。


でも、
新しい「親」である「父親」も
それはそれでいいものなのかも……


「この子に自分がなにをしてやれるか」
なんて思う間もなく子育てに追いまくられていた母親には見えないものが、
きっとこの新しいもうひとりの親である父親には
いっぱい見えているのでしょう。


我が家の新しい親(=夫)のほうは、
よく子育ての理想論のようなものを掲げては
古い親(=私)の失笑をかっていますが、

その青臭い理想論もまた、
子育てには
大切なものなのかもしれません……


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2008/11/05

「当選するのは白人の男」神話が崩壊した日

これは、
半年ほど前に
あるエッセイで読んだジョーク(?)だったか……


「今回の米大統領選の結果は最初から分かっている、
当選するのはより保守的で年寄りな白人の男のほうだ!」

っていうヤツ。


……


笑っちゃいましたよ。
確かに、ちょっと前までそんなかんじでしたよね。

もっとも「保守的」とか「年寄り」っていうのは、
必ずしも当たっているとは思えませんでしたけど。
場合によっては保守派が敗れることもあるし、
テレビの時代になってからは、
そのビジュアル効果から
ハツラツとした若者が老練な実力者を破ることは
さほど驚くに値しない結果になって来てはいました。


それでも、
その他の「白人」と「男」という条件が、
少なくともそう簡単に崩れる壁とは、ね…

正直私にはそう思われませんでした。

このジョークを読んだそのころは
まだ民主党の候補者争いが真っ只中だったころで、
結局はこの候補者争いにクリントン氏が勝とうかオバマ氏が勝とうが、
老練な白人男性候補であるマケイン氏のところに
お鉢が回ってくるだけのことなんだろうと思っていたし、
ごく最近までも
優位優位と言われていても、
やっぱりいざとなると次の大統領は共和党のマケイン氏になるのだろうな、と……


だから、ねぇ……
だから
びっくりです。


ここだけの話ですけど、
オバマ氏の勝利に一番寄与したのは
共和党のペイリン副大統領候補じゃないかな、
と私は思っているのですよ。


手堅く堅実な実力派、
実績もあり未知数の新人にはない安心感がウリであったマケイン氏に、
奇妙に綺麗で素人臭いペイリンさんは
とんでもないお荷物になっちゃったんじゃないかなってね。

「保守派を取り込むために
中絶・同性婚禁止、銃規制反対の彼女を副大統領候補にした」
というのがもっぱらの評判でしたが、
なんだかミーハーで浅はかなイメージを共和党に植えつけちゃった気がします。
「結局はマケイン陣営も人気取りに必死なんだよな」
ってかんじでしょうか。


だから、
地滑り的勝利をおさめたオバマ氏ですが、
この大勝利は敵の自滅によるところも多分にあるようだから、
正直前途多難でしょうね。

誰かが、
「CHANGE(変化)」なんて言葉を
キャッチフレーズに上げる政治家なんて一番信じられない。」
って言っていましたけど、
確かにそう……


CHANGEなんて

「漠然としていてはっきりしないけどなんとなく耳障りのいい言葉」、
の典型ですもの。

オバマ次期大統領には
あくまでこの言葉は選挙用のキャッチフレーズと言うことにとどめていただいて、
是非とも
具体的で有効な政策を採っていただきたいもの……


そうやって、

「ペイリン女史のおかげで勝てたのかも」

なんて

そんな意地悪なこと考えている私のような連中を
是非
ギャフンと言わせて欲しいものです。

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