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2009/01/06

表も裏も印刷だけの年賀状

届いたのは、
裏も表も印刷だけの年賀状。

もう何年も会っていない人からの年に一度の便りだ。


それを受け取った彼女は言う、
「もう返事は書かないよ」と。

来た便りには必ず返事はする、
それが礼儀というものだと信じてきた私には信じられない言葉だった。

そんな驚き顔の私に、彼女は更に続ける。

「だって、
 もう絶対会うことないし、
 向こうだって出すのをためらったはずだもの。
 私がここで返事を出したら
 また不毛なハガキのヤリトリが続くことになっちゃうでしょ」


確かに……
そのはがきの差出人は、
そもそも彼女とはさほど親しい付き合いはなかった上に
最早何の接点も無くなった人物である。
差出人は、
単にパソコンの名簿に彼女の名前が残っていたから、
そして特に削除する理由を見出さなかったから、
そのまま印刷し投函したに相違なかろう。


はがき作成ソフトというものが世に出回るようになって十数年。
誰もが手軽に見栄えのいい賀状を出すようになった。
そして、
その見栄えのいい賀状とともに、
「儀礼」でも「親愛の情」でもなく
とりあえず出しておくという
「惰性」で出される年賀状もまた
数多く世に生み出されていったのだ。


それは、
不毛なやりとりなのか、
それとも、
そもそも年に一度の挨拶などというものは
所詮その程度のものであってしかるべきなのだろうか?


…………


裏も表も印刷だけの、
最早差出人の声や顔も定かではない年賀状。
私宛にも来たその手の賀状に
やはり、今年も私は返事を書いた。

だがその反面、
彼女の「書かない」という決心に
ブラボー!と心の中で密かに叫ばずにはいられない。


虚礼ならぬ惰性廃止……!


だって
惰性で頂く年賀状ほど、
侘しいものもないじゃないか。

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