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2009/01/28

あの白人女性の涙は永遠のものか

映画「クラッシュ(2004)」を観た。

人種のルツボ、自由の国アメリカの抱える病―人種差別。
その忌むべき存在は
決して悪人の中にあるだけではなく、
世界中の正直で優しく善良な人々の中にも潜んでいること。
その善良な人々がひとたび理性のバランスを崩すと
ムクムクとそれは頭をもたげてしまうこと。
そして
衝動的に見せてしまう彼らの本性に
差別される側はどうしようもなく叩きのめされ、
善男善女自身も自分の正体に愕然とする……


結局、
言い古させた言葉だが、

「善人悪人というものはこの世には存在せず、
ある人が行ったことが良いことだったり悪いことだったりするだけ」

……ただそれだけなのだ。


……


この映画を観ながらふと思い出したのは、
先日のオバマ大統領の就任式のとき
テレビに大写しにされていた
ひとりの白人の女性の顔。
彼女はその感動のあまり涙を流していた。

この歴史的に新たなる一歩に涙した彼女も
もしもこの先自分が失業や病、災害などの不運に見舞われたとしてその際に
白人であるが故の逆差別に遭遇したら、
自分たちより優遇されてしまっているアフリカ系同胞に
「ニガーめ!」と心の中で罵るのだろうか?
また
不運にも自分の愛する家族が犯罪に遭遇した際に
その犯人がアジアあるいはアラブ系だったりした場合においては
この国における有色人種の存在そのものを
忌々しく感じ、彼らに侮蔑の目を向けるのだろうか?


アメリカの可能性と未来への自信を取り戻した
あの日の感動の涙をも忘れて……?


それもあるかもしれない。
また、ないかもしれない。


ただ
人間というものは、
天使にもなり得ればその次の瞬間悪魔にでもなる、
もちろんその逆もありうるということ―

それだけは確かなことだ。


そして、
もうひとつ言える確かなことは、

それを再認識させるには
この映画はかなり上質な媒体であるということ―


「クラッシュ(2004)」

この映画を未見の方は
オバマ新大統領という初のアフリカ系アメリカ大統領誕生を機会に
是非一度ご覧になってみるといいかもしれません。

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