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2009/05/07

細胞と私

まだ高校生のころのこと。
英語の受験用問題集に読解問題としてこんな文章がが載っていた。

私たちの身体は多くの細胞から成り立っている。
細胞は自らを生かすために、
結果的には私たちの身体を守る役割をも果たしているのだが、
ただひとつ、それとは反対に
彼らの母体である私たちの身体を破壊する細胞がある。
それはガン細胞。
彼らは自らが拡大するために
母体である人体を蝕み結果的に死に至らしめる。
そうなれば、当然彼らガン細胞も死に絶えることとなるのにもかからわず、だ。

私たち人間も同じではなかろうか?
自分たちが拡大しその勢力を広めるために、
母体である地球を蝕み破壊するところ。
母体を失えば、
あっという間に死に絶えてしまう、
そんなもろく危うい存在であるのに
そんなことにも気づかない私たちは
ガン細胞と同じぐらい愚かで不遜な存在ではないか。


……


私が高校生のころ、つまり今から30年近い昔から
もうこんな環境破壊への警鐘は鳴らされていたわけなのだが、
実はこの文章に私が深く感じ入ったのは、
そんな環境問題についての主張に共感したからではなかった。
そういう現実社会の問題というよりはむしろ
それまで考えてもいなかった

私を構成しているが
私の意志とは別の次元で生きている存在=細胞

というものに
初めて意識を向かわせてくれたのがこの文章であったから。


肉体は多くの細胞によって形作られている。
では心は?精神は?
細胞にも
ひとつひとつに生きたい、増えたいという意志=心があり
それが複雑に絡み合い結びついて私の心が生まれるのだろうか?
それとも
肉体とはまったく別の次元からもう完成されたものとして
その精神というものは降りてくるのだろうか?
細胞ひとつひとつの心とは無縁に?
そうだとすると
細胞と私は精神的にはまったく違う人格ということになるのか?

あたかも
母体である地球と私たち人間ひとりひとりが
精神的にはなんら繋がっていないように?
(いや地球は人間がいなくても生きていけるわけだから、
 地球にとって人間は細胞というより寄生虫というべきなのだろう。
 そういう意味ではこの喩えは不適切ではある。)


今日も
呼吸し、栄養を取り入れ、不要物を排泄する私の中の細胞たち。

あなたたちは
私にとってどんな存在なのだろう。
他人のような異物なのか、
それとも私自身である同一物なのか。

これは
30年来の私が抱えている謎、なのである。

誰か、
こんなことを考えている人はいませんか?
または
こんなことをテーマに研究している学問を知りませんか?

知っていたら
是非教えていただきたいものです。


人の精神というものが
どのように構成されているかが

この21世紀にどこまで解明されているか、を……

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