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2011/03/14

「みだりに唱えてはならない」のに……

たった一人のオフィス。
ぐらぐら揺れるの中、
私は机の下にもぐりこんでいた。

事務所は雑居ビルの最上階、5階。
縦長のビルは多分地上よりは大分揺れたのだろう。

普通はすぐにおさまるはずが
なかなかおさまらない。
いや、どちらかというと激しくなっている。
このままこのビルは倒れてしまうのか?
そうなったら
頭から落ちていくことになるのだろうか?

台所のほうから食器が落ちる音が聞こえる。
ロッカーや書類戸棚がぶつかり合う音も。

こわい
こわい
かみさま……
かみさま……


私は決して信心深い人間ではない。
この

「かみさま」

という言葉だって決して祈りではなく
ただの叫びにしかすぎない。


……


やがて揺れはおさまった。


このおさまりは
祈りによるためでもなければ、叫びが届いたためでもない。

そんなことは知っている。
知っているにもかかわらず、なぜは叫んでしまったのだろう。

かみさま
かみさま

と……


「私の名をみだりに唱えてはならない」

そう
戒められているにもかかわらずに。


結局、

苦しいときだけの神頼み

ってこと、か……


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