「国」って誰?
……たとえば、社会的な問題について
「何かご意見がありましたら、メールやFAXでお寄せください」
と司会の女性アナウンサーが言ったとして……
そういうとき
必ずといっていいほど寄せられる「ご意見」があります。
それは
「国の責任なのになぜ私たちがそれを負担しなくちゃならないのだ!」
というもの。
この「ご意見」に触れるたびに私はこう思うのです。
一体(この人の言う)「国」って何なのか?誰なのか?と。
多分、いわゆる「政府」のことなんでしょうね。
でもじゃあその「政府」とは誰なのですか?
現首相である野田さんですか?
政府をつくっている与党民主党なのでしょうか?
それとも
その政府で具体的に実務を担当している高級官僚たち?
まあ、「国」ってものが上述の人たちの誰かだとして……
次にこんなことも疑問として浮かび上がってきます。
「その人たちが責任を取って負担を担う」というのは一体どういうことなのでしょうか?
やっぱり個人の私財をなげうって補填しろということなのですか?
それとも給料を一部、あるいは全額返還しろということ?
どうなんでしょう?
……
不思議なのは
「国」のことは大声を上げて非難をする人は数多くいても
面と向かって誰かを名指しで非難する人というのは意外といないということ。
「国」という顔の無いのっぺらぼうを叩くのに、勇気はあまり要りません。
極端な話、
事情がよくわかんなくても「国」を叩いとけばいいような気安さがあるから。
それに対し
顔のある首相や特定の官僚、企業のトップを叩くのには
ある程度覚悟を決めて理論武装をする必要が生じます。
わけもわからずに叩くのは
その顔のある敵に「何も分からんくせに」と返り討ちにあう危険性もあるから…
というわけで、
「国が、」
「行政が、」
と二言目には仰る善男善女の皆様には、
安易にそう言いたがる気持ちも分からないではないですが、
「それって
傍で冷静に聞いているとあんまり格好いいモンではないですよ。」
と言いたいのです。
どうも「とりあえず言っている」という感じになってしまいます。
せめて
具体的に
誰にどういうふうに責任を取ってもらいたいかを
述べるべきでしょう。
そうしないと
主権を持っている国民としては
「クニ」=「私たち国民」という図式も少なからずあるわけで、
自分の発した非難が
そのまま自分に降りかかってくるなんてことになりかねません。
そして、
そんな杜撰な糾弾を
「国」の指導者たちは
屁とも思っていない
のは明らかなのですから……
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