「桐島、部活やめるってよ」
青春小説は苦手だ。
というか青春とか学校ってもの自体がどうも苦手……
なぜかと言ったら、
それはやっぱり
私が「さえない子」だったから、
なんだろうと思う。
この小説で言うところの目立つ「上」の子ではなく、
大人しい(即ちダサい)「下」の子。
当時のことを思うと
その頃は決して自分を「下」だなんて思ってはいなかったし、
目立つ「上」のグループに入りたいとか
その人たち対する憧れみたいな気持もそんなになかったと思う。
むしろ
「規則は守ったほうがいい」とか
「必要以上に異性の気を引くような行動はちょっと…」という衿持ちみたいなものがあって、
その結果、大人しい=ダサい子になっていただけ、なのだ。
多分、目立つグループにしてみれば
それはバカみたいな価値観なのだろう。
私達にとって彼・彼女たちの価値観が今一つ理解できないのと一緒で。
それでも
互いに干渉せず教室の中央と片隅とに住分けることで
それなりにクラスとしてまとまったりしていたのだ。
そこには目に見えるような反目や虐げもなかったはずだ。
それなのに、
あれから30年もたったこの本を読んだ今、
どうしてこんなに心がえぐられるのだろう…
………
それは
私達が実際のところ「下」だったから、なのだろうか……?
とどのつまりは
「上」の人たちはその高みから私達を見下ろして憐れんでいたのか?
そしてそのことを「下」は十分知りながら
それに気付かぬふりをしていただけなのか?
己がプライドゆえに?
実際のところ、
いわゆる「下」の人だって
1年365日そんな惨めな状況にあったわけでもないだろうし、
[一人の人間でも「下」になるときもあれば「上」になるときもあった]っていう状況のほうが現実には近いんだろうけど…
だけど
青春小説って、やっぱり辛い。
その辛さが
ウリなんだろうが。
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