初めて、親に「老い」をみたとき
「それを見つけると、
後は坂を転げるようにそれは進行していく…」
これは既に両親を亡くした夫の談である。
かくいう私自身は
いまだかつて
そんな感覚は覚えたこともなかったのに…
久しぶりに会った親は
歩く速さがゆっくりになり
話す速さがゆっくりになり
こちらの話のスピードについてこられなくなり
ろれつが回らないようなしゃべり方で
もごもごと語る
私が小さい頃は
なんでもできる魔法の手の持ち主だったのに
重たいものも軽々と持ち上げた力持ちだったのに
その万能感はあとかたもなく消え去り
残ったのは小さくしぼんだ背中だけ。
いつもと変わらぬように
私の手の回らない庭の掃除や片づけものなどを
てきぱきとやってくれて
結局は元気に帰って行ったけど……
でも私はもう気が付いてしまったよ。
今年の夏の終わりのこと
人生初めてのことだった……
あれから3カ月たったけど
今思い出しても、涙が出そうになる。
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