2007/06/12

しろいごはん

「もしもアナタがこの世を去らねばならぬとして、
その最後の晩に食したい料理はなんですか?」
というよくある質問を受けたとしよう。

思い出深い料理やお袋の味を挙げる人もいることだろう。
もしくは山海の珍味か、
その昔王侯貴族が舌鼓を打った贅沢な宮廷料理を所望する人もいるに違いない。

だが、
私が迷わず選ぶのはきっと

ただの
「しろいごはん」

熱々の炊きたての「しろいごはん」、なのだ。


おかずも何もいらない。
味噌汁すらいらない。
ただお茶碗に一杯、盛った温かい白いご飯があればいい。

そのかすかな甘み、
ふんわりとした食感、
口中でほわほわと湯気をたてるかぐわしさ、
そして、
それらを噛み締めて最後にのみ込む際の
のどから鼻にぬける
あのなんとも言えぬふくよかな味わい・・・


それらを
毎日のように食すたびに思うこと、

おいしさとは
このように、その食べ物がのどに滑り落ちていく瞬間に
命の最後の煌めきのように
それをもりもり噛み砕いている我々に投げかけられるものなのではなかろうか・・・


多分
この国に育った人以外にとっては
何の味もついてない淡白で地味な一皿に過ぎない
しろいごはん。


国民性とか民族性とかいう話は正直好きではない私ではあるが、

あなたの前では

素直に
この国に育った幸せを実感させられてしまう・・・


・・・ありがとう

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2007/05/15

砂糖衣の魅力

以前、
「最も身近にある毒」という甘味のについての文章を書いたことがあったが、
甘いものは正直私にとっての大好物だったりする。

クリーム、餡、ジャム、蜜などなど・・・
甘さにもいろいろあるが
私がなんとなくいつも気になるのは、砂糖衣。
そう、お菓子などにかけられた砂糖のコーティングだ。

それ自体は決してオイシイ!!って唸らせるようなものではない。
むしろ甘ったるくてウンザリしている人もいるかもしれない。
そういう、お菓子の中でもクリームや餡などに比べるとイマイチ主役になり切れないような存在なのだが、これがいい。
特にとろりと落ちかかったしずくの固まりなど見ると
幼い日に読んだ絵本「お菓子の家」の屋根が連想されたまらない気分になる。

色とりどりに着色されて
お菓子を華やげてくれるからなのか、
過度にも感じさせる甘みゆえなのか。
余計なものが入らない
もろに砂糖ってところもいいのかもしれない。
ただ甘いだけってところ、
昔の子供は甘みに飢えていたしなぁ・・・

でも今は飽食の時代だ。
甘いもの、おいしいお菓子はたくさんある。
子供も砂糖だけの甘さなんてさして魅力を感じないのかも、
などと思っていたらなんと驚いたことに
わが娘が半年ほど前だったか、
お菓子作りに余った砂糖をひとさじなめていいかと聞いてきたことがあった。

ううむ、砂糖の人気侮り難し・・・!
そういえば、メリー・ポピンズも歌っていたっけ。

♪ひとさじの砂糖があるだけで
苦い薬も飲めるのよ
ただちょっぴり砂糖があるだけで
楽しくなるわ♪
(「お砂糖ひとさじで」byミュージカル「メリー・ポピンズ」より)

砂糖は今も昔も子供の憧れの味、魔法のひとさじなのだ。
砂糖と聞いただけでなんだか楽しくなるようなそんな不思議な力が
この調味料には秘められている。

そう考えると
砂糖衣の魅力もまた、
砂糖そのものの魅力に通じるものなのかもしれない。
甘さを凝縮した、
洗練されてはなくむしろどこか野暮ったいが
でもとても懐かしいその味・・・

そんなわけで、
いまだに砂糖衣がけのお菓子を見ると
食指が動きそうになる
私なのである。

・・・それについては
  ノスタルジーが多分に入っているきらいは
  無きにしもあらず、なのだが・・・


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