しろいごはん
「もしもアナタがこの世を去らねばならぬとして、
その最後の晩に食したい料理はなんですか?」
というよくある質問を受けたとしよう。
思い出深い料理やお袋の味を挙げる人もいることだろう。
もしくは山海の珍味か、
その昔王侯貴族が舌鼓を打った贅沢な宮廷料理を所望する人もいるに違いない。
だが、
私が迷わず選ぶのはきっと
ただの
「しろいごはん」
熱々の炊きたての「しろいごはん」、なのだ。
おかずも何もいらない。
味噌汁すらいらない。
ただお茶碗に一杯、盛った温かい白いご飯があればいい。
そのかすかな甘み、
ふんわりとした食感、
口中でほわほわと湯気をたてるかぐわしさ、
そして、
それらを噛み締めて最後にのみ込む際の
のどから鼻にぬける
あのなんとも言えぬふくよかな味わい・・・
それらを
毎日のように食すたびに思うこと、
おいしさとは
このように、その食べ物がのどに滑り落ちていく瞬間に
命の最後の煌めきのように
それをもりもり噛み砕いている我々に投げかけられるものなのではなかろうか・・・
多分
この国に育った人以外にとっては
何の味もついてない淡白で地味な一皿に過ぎない
しろいごはん。
国民性とか民族性とかいう話は正直好きではない私ではあるが、
あなたの前では
素直に
この国に育った幸せを実感させられてしまう・・・
・・・ありがとう
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