某国にひとりの王子がいた。
王位継承第1位にあたる彼は
当然年頃になるころには適当な配偶者をえらぶ義務をもっていた
(断っておくと、この「適当」というのは「未来の王妃」に相応しいという意味である)。
しかし悲しいかな、
彼が愛した女性は身分も低く到底王妃として認められないような女性。
かくて
王冠を選ぶか、愛を選ぶか、
と、彼は選択を迫られる。
ここで愛を選んでいれば、
拍手喝采、この愛のドラマもめでたく幕を閉じるのだろう。
が、かつて愛を選んで退位した大伯父に批判的であった王室のためにも
彼には恋人のために王冠を捨てることはできなかった。
それを知る恋人は王子との結婚をあきらめ別の男性と結婚し、
王子のほうも未来の王妃に相応しい身分ある女性を妻にする。
だが、
かつての恋人に心を残しての結婚生活は不毛なものでしかなかった。
恋人も同じだったのだろう、
心を偽って結婚した二組の夫婦は離婚という形でその終止符をうつことになる。
その後、
王子の元妃が不慮の事故に逢い他界するなどショッキングな事件など紆余曲折はあったが、
最終的には、
王子と恋人はその人生半ば過ぎに結ばれる。
・・・
結局、自分の心は偽れず、真実の愛はそういくつもあるものではなかったのだ。
なぁんてこう書くと、
結構な恋愛小説の筋書きみたいではありませんか?
10年前の今日亡くなった元英皇太子妃の不幸な結婚生活も
視点を変えるとこんなふうにも言えそうです。
もちろんこんなふうに綺麗ゴトでは済まない点も
多々あるとは思うのですが・・・
(たとえば、
ちょっと前なら王室に妃以外の愛人なんて
当たり前のことだったとか、
それを受け入れられない妃など実は想定外だったとか、
妃のほうだって純粋な恋愛感情だけで
結婚したわけでもなかったかもしれないとか、
ドロドロしたものも全く無かったとは言い切れないようですし・・・)
いずれにせよ、
他人、特に英国民でもない私がのような者が
いろいろこの件についていろいろ思いをめぐらせるなんて
ただの野次馬以外のなんでもないのです。
だた、
基本的にはダイアナ元妃に好意的な世論を支えている大衆って
裏を返すとチャールズ皇太子とカミラさんの
こうした身分の違いを超えた恋も結構好きだったりするわけで、
そういうのも何だか面白いもんだな
なんて思った次第でして・・・
真実の愛も現実問題とすると
とんだ悲劇や周囲の迷惑を引き起こしてしまうものなのかもしれませんね。
だから
小説や映画なんかで楽しんでいるうちが花なのかも・・・
それから全くの余談なのですが、
それでも私が一貫して
この元夫婦の関係については
夫であった方のほうに好意的な感情を持てない理由は、
案外とても小さな出来事に拠るものだったりするのです。
それは
彼らの婚約時代に行われたあるインタビューでの
「いろいろ彼に教えてもらわないと」というフィアンセの言葉に対する
皇太子の一言。
「えっ?僕が?
僕が教えるの?」
「そうよ、頼りにしているのよ」とフィアンセは笑って続けていたが、
その様子をテレビで見ていた私(当時高校生)には
まったくの余計なお世話ながら
「なんだよ、この二人大丈夫かな?」という不安が感じられずにいられなかったこと。
嫁に行く前の不安でいっぱいのウラ若い未来の妻に
この突き放した言い方はないだろうよ!
たとえこれがユーモアだとしても
こういうのを洒落たユーモアだと思っている人って
なんか大事なとこが欠けてんじゃない?
とまあ、
下賎な言い方をすればそんなことを思ったことが原因なのです。
(まあ相手がカミラさんだったとしたら
そんなことを言わなかったのかもしれないし、
結局は愛情の薄さがつい外に出ちゃったってもんなのかもしれないですけどね。)
東のはずれの国の
異人種で異教徒(私は英国国教会信徒ではないので)の者のもった印象なんて
プリンス・オブ・ウェールズである高貴な方には
屁でもないのでしょうが(下品ですみません―汗)。
それでも
英国民の少なからずの人々が彼の王位継承には批判的だなんて、
私の感想もあながち的外れでもなかったのかな、
妙なところに
自信を感じたりする
昨今だったりするのです(苦笑)。